「……こんなこと考えてても、仕方ないか」


あたしは慣れない下駄を履いて、蒸し暑い夏の外に

カラダを放った。



楓は、瀬川クンと一緒に買い出しに行くから先に行っててと言われた。


花火の場所取りもしてくれているらしい。


そうゆう楓の何気ない優しさが好き。


そんなことを思いながらあたしはあーちゃんの家に向かった。


――ピンポーン


インターホンを鳴らすと

「はーい」

と、あーちゃんの甲高い声が聞こえた。


あーちゃんはどんな浴衣着てるのかな……。


――ガチャッ


あーちゃんの姿を見てあたしは言葉を失った。


白地に紫色の紫陽花がついた

なんとも大人っぽい浴衣。


帯は濃い紫色で。


ショートボブの髪には、可愛い髪飾りがついている。


「湊斗のために、頑張っちゃった」


えへへと笑うあーちゃんは女のあたしでも見とれるくらい綺麗で


あたしはただ呆然と立ち尽くしていた。


「……ちょっと穂香、大丈夫?」


あーちゃんの声で我に返ったあたし。


あーちゃんが綺麗すぎて言葉失っちゃったよぉおおおお。