あたしは深いため息をついた。


楓は今日の夜ご飯の買い出しに行っている。


あたしも一緒に行きたかったけど、そのことを考えたら行けなかった。


もし、楓とふたりで歩いてるのクラスメイトに見られたりなんてしたら、きっと何を言われるか分からない。



バレてもいい、と自信をもって言い切れる程の容姿じゃないあたしは、楓の誘いに“NO”を出してしまった。


はぁああああ……


あたしがもっと可愛かったらよかったのに。


そしたら、楓に似合う女の子になれたのにな……。


そう考えると胸が苦しくなった。



――プルルルルル


そんなことを考えているといきなり、普段はあまり鳴ることのない家の電話が鳴った。


……誰だろう。

もしかして、楓かな?


楓だと思い込み、電話の受話器を取った。