「俺がさっき言ったこと本気だよ?」


「えっ?」


突然の言葉に驚いて聞き返すと、楓の優しい笑顔は一変して意地悪な笑みに変わり、あたしの頬に優しく触れて顔を耳元に近づけた。


「マジで誰にも渡したくねぇし、俺はずっと穂香を信じてる」


意地悪な顔をしているはずなのに、言葉はやけに真剣で、あたしの胸に強く響いた。


「だから穂香も俺を信じて、な?」


あたしの顔を覗き込む楓の、甘い口調にあたしは素直に頷いた。



初めての恋は、幼なじみであり、学校の王子様でした。


楓が10年ぶりに現れていろんなことがあった。


いきなり一つ屋根の下で暮らすことになって、旅行やお祭りに行って、ライバルだって出来た。


俺様で意地悪でエッチな王子様だけれど、実はとっても優しい人。


あたしの…大好きな人。


「穂香」


楓があたしの名前を呼ぶ。


それと同時に甘いキスが降ってきた。


「…ん……っ」


それは今までしたどんなキスよりも、甘くて幸せなキス……。