携帯を取り出して、楓にメールを打った。


【To:楓】
【Re:】


体育館裏で待っています。

ーーーENDーーー


授業をサボっても、どうしてもすぐに伝えたかった。


“送信完了”の文字を確認してから、あたしはパタンと携帯を閉じた。


鞄に携帯を放り込むと、あたしは体育館裏までの道へと足を速める。


楓、来てくれるかな……?


不安ばかりが募って、激しく脈を打つ鼓動をおえながら、体育館の裏へ続く通路を早足で歩く。


――パシッ


「きゃあ……っ!」


曲がり角を曲がろうとした時、誰かに手首を掴まれてそのまま“何か”に倒れ込んだ。


固いような、柔らかいような……。


咄嗟に閉じてしまった目をゆっくり開けると、紺色のブレザーがあたしの視界に広がった。


大好きな甘い香りがしてすぐに誰だかわかった。


「……俺を待たせるとは、いい度胸だな?」


紺色のブレザーからゆっくりと上に視線を移す。


「か、楓……」


そこにいたのは紛れもなく、意地悪に笑みを浮かべる楓の姿だった。


楓はあたしの体を離してコンクリートの壁に寄りかかる。