「穂香センパイがブス? 笑わせないでよ」


女の子の手首を握る愛チャンの手がグッと強くなる。


「アンタ達みたいなのはね、クズって言うのよっ!」


そう言い放った瞬間、愛チャンは力一杯女の子の手首を振り払った。


「お、覚えてなさいよ……っ!」


巻き髪の女の子は力なくそう言うと、他の女の子達を連れて、一目散に逃げていった。


「穂香センパイ…大丈夫……?」


愛チャンの端正な顔が心配そうにあたしの顔を覗き込む。


「大丈夫だよ。ありがとう」


あたしが精一杯、笑顔をつくって頷くと愛チャンはハチミツ色の髪を揺らしながら、ニコッと微笑んだ。


「穂香センパイ…今までごめんね……?」


そう言うと、愛チャンはいきなり暗い顔になって、俯いた。


「あたし…穂香センパイにひどいことした……」


ポツリポツリと小さく呟くように発される声。


こんな愛チャン初めて見た……。


「だからこれは、ほんの罪滅ぼしのつもり……」


「本当にごめんなさい」と力なく言うと愛チャンはペコリと頭を下げた。