「ねぇ、どうなの?」
「そ、それは……」
詰め寄る女の子達に思わず声が震える。
怖くなって下を向いたあたしの目にひとりの女の子のローファーが見えた。
「調子こいてんじゃねぇよ!」
甲高い声に思わずギュッと目を瞑る。
瞬間、肩を思いっきり押されてあたしは後ろに尻餅をついた。
巻き髪の女の子があたしに詰め寄る。
それはもうあたしの瞼に女の子の睫毛がついてしまうくらい。
「なんの取り柄もない凡人が、王子様にチヤホヤされてお姫様気取り?」
ブンブンと頭を横に振る。
バケツをひっくり返したように降り続く雨のせいで、あたしの体はびしょ濡れだ。
雨の雫がポタポタと髪から落ちる。
このまま雨と一緒に消えてしまいたいと思った。
「アンタと王子は不釣り合いなのよっ!」
あたしの髪を引っ張って、怒鳴る女の子。
その後ろで他の子達は、その状況を楽しんでいるかのようにクスクスと笑っている。
「王子は優しいから同情しているだけよっ! 自惚れてんじゃねぇよ!」
髪を離されたと思ったら、バチンッと乾いた音が響いた。