ザーザーと音をたてて降る雨は止む様子を見せない。


最近は秋だというのに、やたらと雨の日が多い。


はぁあああああ。

雨だと余計にテンション下がる。


――『二兎追うものは一兎をも得ず、よ?』


あーちゃんの言葉がいつもぐるぐると頭の中をかけ回っている。


そんなこと言われたって、あたしにはどうしたらいいんだかわからない。


恋に教科書があったらいいのに……。


――『まっ、別にいいけど』


楓が言い放った冷酷な言葉が、思い出す度にあたしの胸に突き刺さる。


別にいい…か。


その言葉に、なんだか悲しくなる。



最近、楓を知ろうとすればするほど、楓がわからなくなる。


まるで出口のない迷路に迷い込んだみたいに。


雨で濡れたグランドを見てそんなことを考えていると、後ろからポンポンと肩を叩かれた。


振り返ると、そこには熱狂的な楓のファンの女の子達があたしの後ろに立っていた。


うっ、すっごい威圧感……。


「ねぇ」