「俺に向かって可愛いなんて……」


あたしの頬に楓のキレイな手が寄せられる。


きゃあああああ!


ちょ、ちょっと、ストップだってっ!


更にパニックを起こしたあたしは、思考が止まって抵抗することさえも出来なかった。


すると楓はニヤリと口端を上げて悪魔の笑みを浮かべる。


「どの口が言うのかな?」


かぁあああああ。


距離にして約5センチ。


もお、唇と唇がくっついちゃいそう……。


「だ、ダメだよ……」


「なにが?」


「なにがって……」


授業中にこんなことしたらダメに決まってるじゃないぃいいい!


「クスッ」


林檎みたいに真っ赤になるあたしを見て、楓はその状況を楽しんでるかのように笑った。


「俺さ……」


「……えっ?」


寝起きの楓のトロンとした瞳があたしを捕らえて離さない。


……楓、なにを言い出すの?


ま、まさか……


こ、こんなとこで愛の告白……!?


「お前のここについてた、白い粉をとってやろうと思っただけなんだけど?」


そう言ってあたしの頬をツンツンする。


……あたしの淡い期待は一瞬にして打ち砕かれました。