楓の代わりに爽を…なんて思うのは絶対にいけないことだと思う。


……だけど。


不覚にもそう思ってしまったあたしの心は罪悪感でいっぱいになった。


胸の中に黒いモヤモヤが広がっていく。


それは、一体何なのか。


あたしにはそのモヤモヤした気持ちの正体がわからなかった。








――裏庭に戻ってきて。


あーちゃんはあたしの神妙な表情で察したのか心配そうに顔を覗き込んだ。


「……なにがあったの?」


あたしは、さっきの出来事をを全て話した。


爽と楓の関係のこと。


柚月サンのこと。


『浮気しちゃおうか』って言われたこと。


……キスされたこと。


黒いモヤモヤのこと。


時々、あーちゃんは驚いたような顔をしたけれど、真剣にあたしの話を聞いてくるた。


だけど、その顔はどんどん険しくなっていく。


話終えた後、あーちゃんはため息をついて真剣な瞳であたしを見つめた。


「穂香は王子と早川爽…どっちが好き?」


……えっ?


どうしてそんなこと……


あまりにも、その表情が真剣だったからあたしはあーちゃんから目を逸らすことが出来なかった。