だけど、近づけば近づく程、穂香の楓への想いの強さ思い知った。
そして…俺の気持ちも、知らぬ間に変化し始めていた。
穂香は、俺の企みとは裏腹に俺の中にすんなり入ってきた。
――穂香はどこか、柚月に似ていた、
泣いたり、笑ったり。
真っ赤な顔して照れたり、口を尖らせて拗ねたり。
そんな穂香が可愛いと思った。
一緒にいても飽きなくて。
いつまでも一緒にいたい。
不覚にもそんなことを思ってしまったんだ。
“俺の女になれよ”
気づけば、そんなことを口走っていた。
……だけど、少しは期待してたんだ。
いつもの笑顔で頷いてくれる気がして。
だけど楓は、それを察したのか穂香の前にも関わらず、誰にも聞こえないように耳打ちした。
――『穂香をあまり困らせるなよ?』
その言葉は挑発的だったけど、穂香を想って言ってる言葉なんだと思った。
楓は、俺が思う以上に穂香を愛していたんだ。
だけど、俺の気持ちも止められなかった。
柚月から受けた悲しみを優しく取り除いてくれたのは穂香だった。