「……ちょっと、表出ろよ」


「はぁ?」


楓の腕を強引に引っ張って連れてきたのはマンションの駐車場。


どしゃ降りの雨が俺に降り注ぐ。


けれど、今の俺はそんなこと全く気にしなかった。


「お前…柚月が好きなのか?」


楓が出す返事なんてわかってる。


だけど、楓の口から楓の言葉で聞きたかったんだ。


すると楓はなに食わぬ表情を浮かべて


「好きなわけないだろ? 柚月はただの友達だ」


冷たくそう言い放った。


俺は楓をブン殴った。


何回も、何回も。


だけど楓はやり返してこない。


むしろ抵抗もせずに、ずっと立ち尽くしていた。


「爽…っ……!」


しばらくすると、柚月が傘を差して俺達のところに走ってきた。


「ねぇ、なにやってるのっ……!?」


持っていた傘を投げ捨てて、俺の体を揺さぶる。


「柚月には関係……」


「関係あるじゃないっ!」


血だらけになった楓の頬を柚月が優しく撫でる。


「……こんなになるまで…っ…」


なんだよ……


柚月のことを思ってやったことでも、結局は俺のせいかよ。


柚月は楓に傷つけられたのに。


なんでそこまですんだよ……。