「楓、お前また告られたのか?」


「うるせぇよ」


――寒さが厳しい11月。


俺と楓は白い息を吐きながら、校門を通る。


「きゃあああああっ!」


「王子ぃいい~」


「爽様ぁあああ」


校門で待ちかまえていた女達が甲高い声を出して俺達を囲む。


自分で言うのもなんだが、俺達は学校の王子様だ。


まぁ、俺も楓も、容姿は抜群だからな(笑)


だけど、楓は誰からの告白も受け入れない。


例えそれが、学年一可愛い女からの告白だって「無理」と冷たく突き放す。


それにはなにか理由があるみたいだけど。



「楓ー! 爽ー!」


俺達を取り囲む女達よりも響く、透き通った声にふたりで同時に振り返った。


俺達のところにかけてくるのは。


藤宮柚月(ふじみや ゆずき)。


長い茶髪をポニーテールで結んでいる。


元気いっぱいで愛嬌のある女。


いつも一生懸命で泣き虫で……。


ドジで天然なところもある。


だけど、俺はそんなアイツに惚れてる。



俺達3人は小学校の頃からの幼なじみで。


俺はずっとアイツが好きだった。


「もお! 置いてかないでよね!」


柚月は口を尖らせて、フンッと頬を膨らませた。