「…………」
楓クンがキスしてきたことにびっくりしてあたしは言葉を失った。
「悪りぃ……」
何も言わないあたしに楓クンが謝った。
その表情はどこか悲しそうで……。
胸が疼いた。
「えっ……あ、楓クン!」
気づいた時には楓クンはもういなくって。
……わかんないよ、楓クンの気持ち。
楓クンは何を考えているの?
どうして……キスしたの?
もう頭の中がグチャグチャだよ……。
重い気持ちを抱えたまま教室へ急いだ。
――放課後。
「そんなことがあったんだ?」
「……うん」
今は、あーちゃんと行き着けのファーストフード店でお話し中。
「我慢の限界、ねぇ」
「うーん」と顎に手をあてて考えこむあーちゃん。
「どういうことなのかな?」
「……つまり、王子は穂香とキスしたかったってことよ」
キ、キスしたかった?
「ずっと好きだった人と10年ぶりに再会してなんにも発展なしじゃ……ねぇ?」
……そういうものなの?
男の心理ってなんだかよくわからない。

