「あたしね、湊斗と出会えたのは運命だって思ってる」
「……どうして?」
「だって…もしあの時、保健室で盗み見してなかったら今のあたし達はいないじゃない」
微笑みながらそう話すあーちゃんは、恋する瞳をしていた。
「そっか…」
あーちゃんは瀬川クンとの出会いを、そんな風に考えていたんだ……。
「運命は本当よ? このあたしが言うんだもん」
そう言って、誇らしげに鼻を鳴らす。
「あーちゃん…」
「いつまでもクヨクヨしてちゃだめよ。恋なんてわからないことだらけ。簡単な恋なんてないんだから」
あーちゃんはあたしの全てを見透かしてるようだった。
だからそんなこと言うんだ。
あーちゃんの優しさに胸がジーンとなる。
「数学の問題なんかより、恋ってずっと難しいと思うわ」
「えっ?」
「だって、数学には必ず答えは一つあるでしょ? だけど、恋の答えは一つとは限らないし、必ず答えがあるなんて言い切れないもの」
あーちゃんの言ってることを正しい。
答えは一つじゃない。
だから、迷う。

