――楓が遠い人に思えた。
小さい頃からずっと、楓を知ってるのに……。
あたしの知らない楓がいることに、胸がギュッと締めつけられた。
そして爽が言ったあの言葉。
――『…楓はやめとけ』
その言葉には、なにか特別な意味が込められてる気がして……
楓も爽も、そして“アイツ”も。
あたしには全くわからなかった。
それから結局、レストランの山菜料理も全く喉を通らなくて。
植物観察レポートは、ほぼ白紙に近かった。
……そんな中、迎えた1泊目の夜。
あたしとあーちゃんは、ふたりで露天風呂に来ていた。
――チャポンッ
洗面器の軽やかな音が響く。
「あ~、気持ちいぃ」
あーちゃんは、「ふぅ」と一息ついて、空を見上げた。
「……ねぇ、穂香?」
「ん?」
満天の星空の下。
あーちゃんは星空を見上げたまま、静かに口を開いた。

