「王子と早川爽の間になにかあるのは絶対よ」


「そこまで仲の悪い理由がね」とあーちゃんは付け足した。


確かに、あーちゃんの推理は正しいかも知れない。


――『転校早々、王子様気取って。マジでイラつく。』


悔しいそうに爽は言ってた。


あたしは、ずっと不思議に思ってたんだ。


爽がそこまで楓を嫌う理由を。


そして、そのわかりきったような言葉も。


まるで、楓のことをずっと前から知っていたかのような口調も……。


全てが不思議だった。


「そう言えば」


甲高い声にあたしは再び、あーちゃんに視線を移す。


「この間の放課後、校門の前で王子と早川爽が話してるの見たの」


楓と爽が……?


「なんか険悪なムードだったわ」


あのふたりが話している姿なんて見たこともない。


しかも険悪ムードの中、一体何を話していたの……?


「なんかね、“アイツはお前の女だ!”って早川爽が凄い剣幕で怒鳴ってた」


あたしの心情を読みとったかのようにあーちゃんは言った。