それからあたしは自分の部屋に戻り、あーちゃんに全てを話した。


「つまり、嫉妬ね」


あーちゃんは、わかりきったような顔でさらりと答えた。


「し、嫉妬……?」


楓は、あたしが爽に抱き締められてるのを見て、嫉妬したってこと?


「王子が嫉妬なんて、なんか柄じゃないわ」


あたしはコクンと頷く。


「でも、それだけ愛されてるってことよ」


「うん……」


するとあーちゃんはいきなり険しい表情になった。


「でも、早川爽が言った“アイツに負ける”ってどうゆうことかしら?」


あーちゃんは、顎に手を当てて考え込む。


――『悔しかったんだ。アイツに負けるのが』


エレベーターの前で爽は確かにそう言ってた。


その言葉には何か深い意味が込められている気がして……。


気になって、気になって仕方なかった。


「でも、早川爽に聞くのが一番早いかもしれないわね」


「そうだよね……」


「……でも」とあーちゃんは続ける。