「廊下で愛チャンを抱き締めたのは何のため?」


そうあたしが聞くと楓はニヤリと笑って


「なに、妬いてんの?」

って、あたしをからかった。


普通、妬くに決まってるでしょ!


「抱き締めたのは、これを付けるため」


そう言ってあたしに小さな物体を差し出した。


……これ、なに?


「ん? 盗聴器」


楓は抱き締めている間に、愛チャンに盗聴器付けらしい。


場所がわかるように、GPS機能も付いているのだとか。


本当、やることが刑事並だなぁ……。


つい、関心してしまう。


「これをアイツに付けて、湊斗の家で聞いてたんだ」


み、湊斗の家……?

と、ことは……


「湊斗の親父サンが刑事で、家にそういう系のがたくさんあるんだよ」


な、なるほど……。


「だから、湊斗の家に泊まり込みでずっと聞いてたってワケ」


楓が家に帰って来なかったのはそういう理由があったんだ。


それを聞いてあたしは安心した。


愛チャンの家に行ってたなんて言われたら、あたしショックで立ち直れなくなっちゃうよぉおおおお……。