「言ったでしょ? 綺麗なバラにはトゲがあるって」


その言葉と同時に愛チャンはあたしの髪を離した。


引っ張られた地肌がジリジリと痛む。


「それはね、あたしのことを言ってたのよ?」


えっ……

愛チャンのこと?


「あたしは、とっても綺麗でしょ?」


……愛チャンは自意識過剰なんかじゃない。


だって本当に綺麗だもの……


女のあたしでも、思わず見惚れてしまうくらい。


「男はその美しさに思わず触れたくなる」


そして、愛チャンはニヤリと妖しい笑みを浮かべた。


「だけど、あたしにはトゲがある。しかもたちの悪い猛毒がね?」


……トゲが、ある?


猛毒ってどういうこと?


「アンタは馬鹿だから分からないみたいね?」


その言葉に少しカチンときたけれど、とりあえず今は抑えることにした。


「あたしは男を捕まえたら、ズッタズタにして男のプライドをへし折ってやるの」


――言葉を失った。


愛チャンがここまで残酷な女の子だなんて思わなかった。