――次の日の昼休み。


あたしは楓に言われた通り、屋上に来ていた。


いつも時間ぴったりに来る楓のことだから、もうとっくに来てるかと思ったのに……。


そこに、まだ楓の姿はなかった。


ベンチに腰掛けて、空を見上げる。


昨日はあんなに雨が降ったのに、今日は清々しいほど晴れてる。


そんなことを思いながら楓を待っていると……


――ギィ


重い扉の開く音がした。


楓だと思って振り返ったあたしに待っていたのは思いがけない人物だった。


「……あ、愛チャン?」


そこに立っていたのは、

「川島サン……どうしてここに?」


はちみつ色の髪をふわりと揺らす愛チャンの姿だった。


「あたし、楓に呼ばれて……」


あたしがそう言うと愛チャンは、ニヤリと笑って


「奇遇ですね? 実はあたしも呼ばれたんですよ」


「えっ……」


楓が愛チャンを呼んだ?


どうして……


楓の思ってること、わからないよ……。


「きっと、あたしと楓クンの方がお似合いだってこと、アナタに思い知らせるために呼び出したんですよ」


……本当にそうなのかもしれない。