「ねぇ、先生はいつも数学の時間、窓から何を見てるの?」

私は、疑問に思っていたことをこの場を借りて聞いてみた。
先生のこと いっぱい知れるチャンスだと思ったから。

「ん?アレかぁ…花壇見てる。」

「花壇……?」

私は、先生がこの間 花に水やりをしている姿を思い出した。

「そういえば、私授業中に、先生が花壇の花に水かけしてるの見ちゃった。」

私が言うと、

「えぇ!? アレを見てたのかぁ?……授業もまともに受けないで…変態!」

先生はそう言って、私に軽くデコピンをした。

「たまたま見えたの!! 先生、花好きなの?」
ちょっと嘘ついちゃう。

「んー、花ってゆーか、まぁ。俺はひまわりが1番好きなんだよなぁ。」

「ひまわり? そんなの咲いてたっけ?」

「夏には咲く。そろそろ育ち始めるんじゃないか?」

へぇ……
好きな花はひまわり…かぁ。


「先生らしいね。先生、何となくひまわりっぽいかも!!」

「あっはっは、そりゃ光栄だなぁ~。」

「にしても、どうしてひまわりが好きなの?」

まず花に自体 興味なさそうなのに……

「何か元気貰えるだろ?あと俺、それぞれの花言葉とかも好きなんだよなぁ。」

「へぇー!! そっかぁ。私も早くひまわり見たい。」


先生が好きな花。ただそれだけだけど、この瞬間から 私もひまわりが大好きになった。

「俺、子供出来たら ひまわりって名付けたいなぁ。」
ボソッと先生が呟く。

「こ、子供!?」
先生の子供……

「まず、相手いるの~?」
ドキドキしながら聞く。
先生って…やっぱ彼女とかいるのかなぁ……
ちょっと胸が痛くなった。

「さぁ?秘密♪」

人差し指を口に当てて、ニカッと笑う先生。
私、本気なのに……

曖昧な答えに、
気分が暗くなっちゃう私。

「いる、よねぇ。先生、カッコイイもん。」
ついつい、本音が出た。

「え、マジ?そんなこと思ってくれてんだぁ?」
ニヤリと笑う先生。

「実際ね、先生を好きな生徒っていっぱいいると思うよ。」

先生の目が丸くなる。
ああー…何でこんなこと言っちゃったの、私。