そして、運命の答案返却日。


奇跡はおこった。




「おい!やったぜ!?何点だと思う?」

息を切らせ、待っていたオレのもとへ駆け寄る。

「さっき、ババアに電話したら、泣き出してよ。逆に失礼だっての!」

よほど嬉しかったのか、いつもの皮肉屋がなりをひそめている。

―くっ…!かわいい…。

目をキラキラくりくりさせて言い募る姿は、さながら子犬。

黙ったままのオレに、空弥はムッとし始める。

「なんだよ…。嬉しくないのかよ…。」

―ヤバイ。しょげて垂れた犬耳が見える…!

「ごめんね?ちゃんと嬉しいよ。で、何点だったの?」

「ああ!!なんと、90点。」
マジですごいな。それは…

うん、でも。ということは?


「そんなに欲しかった?ご褒美。」

にやり、と笑って言う。
そういうことだろう。
一体、何が欲しいのか?


「…………」

空弥が、らしくなく口ごもる。
チラチラと、視線をずらしながら、言いにくそうにしている。

「何でもいいよ?」

優しく促してあげる。
すると、これ以上ないくらいに体を真っ赤に染め、空弥が叫んだ。



「今度の日曜日、付き合ってください!!」