そもそも、悪いのはこんなヤローを雇ったババアだ!
うちのババアは、オレに内緒で家庭教師を頼みやがったのだ。


忘れもしねー、あの最悪の出会い。


陵 将哉。
大学3回生のヤツは、黒い少しクセのある髪を軽く撫で付け、にこやかに挨拶してきた。
嫌味たっぷりに!

『君が、空弥くん?よろしく。大丈夫だからね、君の成績は、これ以上落ちようがないから、あとは上がるだけだよ。』


ハッ!
どん底の成績で悪かったなっ!!


だいたい、オレより高い背も気に入らない。
涼しげな二重の切れ長の目も、嫌味ったらしくて気に入らない。
何より、何を考えてんのか全然読めない、その表情が気に入らない。