よく分からないが、とにかくヤバイ気がした。

1人焦るオレを放置して、センセは指先を前に回してくる。

胸を、爪で引っ掛かれた瞬間、反射のように勝手に体が跳ねた。

「んっ!」

「……ふっ…気持ちいいの?」

そう言われたとき、ハッと何かが戻ってきたような感じがした。
すぐに、センセの体を力一杯押し退け、ベッドから逃げる。

「……残念。」

少し、おどけたような態度に胸が、チクリとした。

「センセ…おれ…」

何を言おうとしたのか。
けれど、言葉は遮られ、出てくることはなかった。

「空弥?」

それ以上言うな、と言っているような有無を言わせない迫力を持って、名前を呼ばれたから。



出せなかった言葉は、体にとどまり、ドロリとしたものに変化して、オレを息苦しくした。