ウェルカムアワーズ

「右に曲がって階段上ると、西階段が奥に見えるからね」

「ありがとう」


 にっこり笑ってうなずいて、松宮くんは保健室に消えた。

すぐに部屋の中から、活きのいい笑い声が聞こえてきた。すごすぎる。中で何が起きてるんだろう。


 ちょっと気になったけど、引き返すのはやめておいた。

右曲がって階段上って、を早く実行しないと忘れてしまうし、松宮くんの言うとおり、遅刻の説明は面倒そうだったから。


それに、松宮くんは一人でも大丈夫。私がいつまでもくっついてなくたって。