ウェルカムアワーズ

 だって。松宮くんにとっては、毎日の通学路なんだから、あの坂道を加速度つけて降りるのも当然だったってことで、そこに私が加わったから。


だからあんなことになったんだよね? 

ここはやっぱり謝らなくちゃ。私に関わったばっかりにゴメンなさいって言うのか、責められるのは私だってことを。


「まさか葉月ちゃん、自分の災難に巻き込んじゃってゴメンとかって思ってないよね」


 先に。そう言われて、私は言葉をつなげないまま黙り込んだ。

どうして考えていることがわかったんだろう。


 少ししか光の入ってこない、暗い緑色の廊下を見たいわけじゃないけれど、顔を上げるのは嫌だった。

図星突かれて、どんな顔をしたらいいのかわからない。謝らなきゃならないから、私はそう言おうとしていたのに。