ウェルカムアワーズ

 心なしか哀愁を漂わせ、かっちゃんなる人が自転車を引きずって行ったのをきっかけに、輪は崩れていった。

突然の事故の見物人たちも、ばらばらと校舎に向かっていく。


 松宮くんは、すれ違う人がかけてくいろんな言葉にいろんな風に応えながら、私の背中を押して、保健室方向に誘導した。

なんで? なんて思った私は、薄情者度が高いかも。


 ここはそれは当然、付き合うだろう、そのくらい。


「かっちゃんはスプラッタにヨワいんだ。自分の血も他人の血も見境なくダメ。たいていの要求はこれで通るね。覚えときなよ。役に立つから」