ウェルカムアワーズ

 無気力そうにそれでも言い返すその人は、やっぱりコワイのだった。

私が中学生で、この高等部の先輩に声をかけなきゃならないんだとしたら、わりと大量に勇気が必要だろうと思う。

だって、別に中学生じゃなくても怖いもん。


 松宮くんは友達だから、そりゃ当たり前にひるまずに、


「よし、ぴったり。保健室行くから、オレのチャリ置いてきてよ」

「オレがかい」


「朝から派手なアクション見せてやったんじゃん。報酬くらい下さいよー」

「理屈かよ、それが。なんでオレが」


「傷口見せようか」

「かばんも運ばせてくれ、隆一朗」

「さんきゅー。かぎ、ちゃん取っといてね」