ウェルカムアワーズ

「靴ならここだ、隆一朗」

 と、その声は太くて、人をよけさせて現れ出た持ち主に、私は私の勝手に考えていたことのせいで絶句する。

方向が間違ってる。シンデレラじゃない。


いいかげんにしろ。

自分で自分にツッコミを入れて、改めて登場した人物に目を向けてみると、あるのかどうかは知らないけれどラグビー部員って感じの人が、ものすごくちっちゃく見えるかばんと反対の手に、またちっちゃく見える革靴をさげて立っていた。


「も少しで池にはまるとこだったってさ」

「お、さんきゅー、かっちゃん。で、誰が?」


「中等部の一年生女子。名乗らなかったからわかんねー」

「かっちゃん、顔コワイもんね」

「そういう問題か? 今」