ウェルカムアワーズ

 本気で気付いていなかったことに、あきれさせてもらっていいと思う。

自覚していただけてほっとした私は、そんなことを思いながら、その派手に傷のついた腕から手を引いた。


 患部は心臓よりも上に、なんてキホン的な教えを松宮くんも守る人みたいで、私が無理に設定した位置から下ろすようなことはしないまま傷を観察している。

タカハシ先輩は、さっきよりもずっと嫌そうな表情で、わざとらしいため息を、深く深ぁくつき、……校舎に向かって歩き出した。


なんだその態度は。

怪我をした(重傷っぽい)後輩に対する先輩の態度って、それでいい? だって。