ウェルカムアワーズ

「あ、聞いた? 先輩も聞いた? 怖いでしょー。僕たちっ、お似合いなんだってー」


 私はその会話にどうしても割って入れず、そんな場合じゃないのにそんなことしてる自分にいらいらして、アタマに血が上りそうだった。

上りそうって言うか、すでに大量にのぼってる。だけどしかし、問題は私の血ではなく、松宮くんのであって。そうだよ、血なんだよ? だって。


「ど。どしたの? 葉月ちゃん」

私の手は正しく対象物に届いて掴んでいた。

振り向いた松宮くんの顔が、あんまり近すぎて驚いたけど、そんなことひるんでちゃいけない。


「怪我してるの、松宮くんはっ。ここ、腕っ」

「おぉ」