「おはよー、葉月ちゃーん。いい天気だねー、今日もー」


 間延びした挨拶に振り向くと、松宮くんだった。

ハンドルに両肘を乗せて、かなりだれた姿勢でコントロールしている自転車は、もちろんふらふら揺れている。


私は話しかけられて考えごとを中断したんだけど、なにを考えていたのか思い出せない。

なにか頭が痛いような、だけどぼんやりかすんでるみたいな。とにかく全体的に変なことは確か。


「かばん入れる? 楽になるよ」

「そんなに、重くないから。まだ教科書もらってないし」


「あー、そうなんだ。不便だねー」