「お名前をどうぞ」

「は、はい。桜田葉月です」


 まさしく、地を這わせたい声は、モーツァルトの死神みたい。心臓がどきどきしてきた。

本物のタロットカードと、本物の占い師。あ、占い師の方は本物かどうかよくわかんないけど、とにかくコレを知ってるんだから、すごいには違いない。

怪しすぎるくらい、怪しいけど。


「カードはあなたが混ぜて下さい。これからはあなたと私とで、カードに向かい合うのです。心は穏やかに。清く正しく美しく」


 それ、いったいどうしたらできるんだろう。穏やかにって言われたって、何をどうしてあげたらいいんだか。


 そんなことをあたふたと考えちゃってるのって、ちっとも穏やかじゃない気がするんだけど、そこのところはごまかしておくことにして、私はカードを両手で混ぜた。

このカード自体が、なんか呪われてそうで、触るのが怖い。