あげられる例を聞いてると、それが私に役に立つとはとても思えない。

だがしかし、ここで私にそんなことは言えないのだった。


「じゃ、雰囲気出すために、私たちは隣に移動するからね」

「終わったら一緒に帰りましょーね」


 帰りましょー……って。


 私はしぶしぶ、柴田先輩と机を挟んで座った。だってほかにどうにも動けない。

断るのって失礼だし、もうタイミングを逃してるし、それに、実は少し、楽しそうなような。


 先輩の右手にあるカードの束。実物見るのも初めてなんだ、私は。タロットネタの殺人事件とか、マンガとかで多少意味を知っているだけで。

あ、あとはゲームセンターの、ヘンな人形が動くコンピューター占い。

その機械仕掛けの人形とほとんど変わりはしない、いかにもといった黒ずくめの衣装に身を包み、先輩は低い声を響かせた。