一際暗い一角には引き戸があって、その上のプレートの標示は『準備室』。その字体と紙の色を見れば、それがもう何年も放ったらかしなことがわかる。
その戸の向こうでがたんがたんと、何かを無理に避けて進んでいる様な物音がして、やがてニンゲンが姿を現した。
制服。男の子だ。そりゃそうだ。なんだと思ってた? 私は今。
「予定より早かったですね。僕は高等部はもう少しかかると思ってたんだけど。身を引き締めなきゃならないことが多いはずでしょ、高校生の方が」
「オトナになればごまかし方も当然覚えるもんよ。中学生ほど浅はかじゃないの」
「その分、取り返しもつかないけどね」
お姉様方には立ち向かわないことにしているらしく、少年は肩をすくめるアクションを返しただけだった。
校長先生のおハナシのことを言っているらしいことは、私にもわかる。
その戸の向こうでがたんがたんと、何かを無理に避けて進んでいる様な物音がして、やがてニンゲンが姿を現した。
制服。男の子だ。そりゃそうだ。なんだと思ってた? 私は今。
「予定より早かったですね。僕は高等部はもう少しかかると思ってたんだけど。身を引き締めなきゃならないことが多いはずでしょ、高校生の方が」
「オトナになればごまかし方も当然覚えるもんよ。中学生ほど浅はかじゃないの」
「その分、取り返しもつかないけどね」
お姉様方には立ち向かわないことにしているらしく、少年は肩をすくめるアクションを返しただけだった。
校長先生のおハナシのことを言っているらしいことは、私にもわかる。

