ウェルカムアワーズ

「葉月の潜在能力も期待してるわ、私たち。新風ってのは無条件でいーものなんだから。放課後、なんか用事ある?」

「ない、けど……」


「ご招待、受けて。損はさせないわよ、私たち」

「おなか空かせて家路を辿るよりは、ずっとましなはずだわよ」


 招待ってなんのことなのか、二人は説明しなかった。私は後について階段をのぼりながら――螺旋の階段じゃなくて屋内の――、また制服のことに戻っていた。


 グレーのスカートにベストにリボン。

私は今も引き続いて着ている前の学校の制服も気に入っているけど、これも、かわいいとは思ってる。


気に入っている、と言ったら、この古い匂いのする校舎もいいもの、かも。

学校じゃないみたいな石の階段もすごいかっこいいし、落ちたら痛そうだけど、落ちなきゃいいことだし。

靴のまま校舎に入れるのも楽だし、廊下の窓、ちゃんと開いてて風が通ってるし。