ウェルカムアワーズ

「隆一朗くんは三月三十日生まれ。今でこそあんな身長を手に入れたが、その成長は遅々としてまったりとしか進まないものであった」

「そのイメージがどうしても抜けないことを思い知らせるために、時々坊ちゃん扱いしてやるの。ただの思考機械にならないための、愛のムチなのよ」


「才能に思い上がると、あの手のタイプは孤独一直線だから、常に俗世にまみれさせてやらないと」


 俗世。

そんなことを言い出した二人は、本当に松宮くんのお姉さんでもおかしくない、大人っぽい顔立ちをしている。

だけど私と同じ年なはず。同じクラスなんだったら、間違いなく。


私は双子にしつこくこだわっているみたいだけど、だって見るのは初めてなんだ。

テレビとかだったら会うけど、生ではこれがきっと初めてだった。ふしぎだ、しみじみと。