ウェルカムアワーズ

「桜田さん。葉月ちゃん? そう呼ばれてた?」

「友達には、だいたい」


「八月生まれ? やっぱり」

「あ、違う、五月」

「わかった。葉桜ちゃん。そうでしょ」


……どうしてわかったんだ。


「名字にかけてあるんだ。いい名前だね。うん。いい名前だ」


 天真爛漫。それがいちばんはまる笑顔で、松宮くんはそう言った。それに比べて、私の方はヨコシマなことこの上ないような気がする。

ヘンな値踏みばかりしていないで、ちゃんとこの人と向かい合うのが、この場合の正当な態度っていうものでしょうが。


「あの、松宮くんは、今日はどうして学校に来ていたの? まだ夏休み、でしょ?」