結構シャープな印象だったさえこちゃんなのに、ぐらぐらしてきた。なんだかこう、ふにゃふにゃしてて不思議。

「だけど、この時間じゃないと……」


だなんて言う。なにか特別な用事があって、こんなに早くに登校したのかな。部活とか。

体育会系には見えないけど、だったらどうして壁にもたれて立っていたりしたんだろ。

 私を待っていたみたいに一緒に歩き出さなかった? だって。えと。なんだ?
なんか、ヘン。


 だけどその時私の視界をかすったもので、さえこちゃんのヘンなんてどっか飛んでって消えた。ほんの一瞬視界に入っただけだけど、幻じゃない。

現実はかなり破壊されているけど、私の目はちゃんとしてる。見えるものを見てる。だからっ。