ウェルカムアワーズ

 松宮くんは、倒れた時に手に付いた砂をはたき落としながら立ち上がり、


「やめなよ、こういう挨拶。早死にしたらどうすんの」

「別に困らないわね、私は」

「もともとの寿命もわからないくせに、そゆこと良く言うわ。夏休みぼけだね、隆一朗」


 まったく同じ声で続けて二人でそう言って、その二人はすたすたと校舎方向に歩き出した。

二人……、双子だ、この人達。すごい。そっくり。本物。


「待ってよー、二人とも」

「なに?」


 二人はぴったり同じタイミングで振り返り、怒ったみたいな顔だった。だけど松宮くんはちっともひるんだりしないで、朗らかな声で言う。


「転入生の桜田葉月ちゃん。二人とも同じクラスだから、仲良くしてね」