ウェルカムアワーズ

 ……「葉月ちゃん」

 声が聞こえた。遠くからじゃない。すぐ近くだ。すぐ、隣。長い間固めたままだった両手をほどいて顔を上げると、松宮くんの、顔。

び。びっくりするでしょっ。そんな近くっ。


「ここに居たのかー。探しちゃったよ。って、そんな場合じゃない? あぁ、そうだよね」

 説明なんてしなくても、どうだかわかんない事情をわかっているみたいにうなずくと、私の腕を引っ張った。立て、ってこと? これは。


「怪我はないよね。走れるよね? ダメだったら背負ってってあげるけど。どう?」

「じ、自分で走れる、と、思う」


「それはなにより」