ウェルカムアワーズ

「そんなことしない」

「四階。エレベーター使うからすぐだって」


 規則違反だと説明したそのボタンに、彼はなんでもない事のように手を伸ばした。使われるはずのないものだから、待つ必要もない。ちゃんと箱は一階にある。

「仕事中だから、理由はあるからね」


 中身はわからないけど、その模造紙は生徒会の義務らしかった。これは特権なんだろう。エレベーター使用許可。

箱を持ち上げる機械音が、床ばかり見ている私に浸透して、こんなことで私は落ち着いてきた。閉ざされた空間に、ほっとした。誰もいない。ここには。

「ごめんね。松宮くん」


 嘘をついて。そんなことしないなんて言ったけど、置いて帰ったはずだ、私は。あんなの、とっさに口から出た、まさしくウソ。