「なんだ、すごい近くだ。迎えに行こうか、明日」

 う。またそんな、絶対予想もしない様なこと言って。


「い、いいよ。だいじょうぶ。ひとりで来れるから」

「そう? それじゃあきらめますケド」


 本気で残念そうに松宮くんはそう言った。

小学生じゃないんだから、一緒に登校なんてなかなかしないと思うんだけど、そんな風には考えないのだろうか、この人は。


 学校をぐるりと包むレンガが、いったいどうやって造られたものなのかの解説なんかをしてくれつつ、バスの時間まで一緒にいてくれた、松宮隆一朗。


総合印象としては、できすぎじゃないかってくらい、できた人。

自分のことなんかは放っておいて、その時の私は本気で感心していたのだった。



……はなはだ、情けないことに。