例えどれだけ説明しがたくても、そんなこと言ってる二人は、ちゃんとしてるほんものの人間だった。

世の中には科学だけでは。それはほんとにその通りで、私はまだ握っていたヘッドフォンを、やっと手から外して机の中にきちんと戻す。

 気持ちが悪い。気味悪い。耳にあんな声が届くなんて、信じられないけど、本当のことだ。だって私の耳は、ちゃんとそれを聞いたんだから。

待って。ちょっと待ちなさい。それを信じる? 私は。何で信じられるの? だってそんなの、そんなの変じゃんっ。


 さえこちゃんみたいに、私も逃げ出したかった。だけど、どこに逃げたらいいのかわからない。どこに逃げたら、逃げられるのか……。