短い曲なんだろうか。

 自習だからか知らないけど、席は自由みたいで、みんな好きな風に座っていた。


いや、座っていない人もいる。楽器室の札のドアの向こうにも行ってるし、その人数を足しても、どう無理しても、絶対的に人が足りなかった。

 柿の木の見える窓側に座った私のすぐ後ろには、さえこちゃんとよーちゃん。二人とも、音楽とは関係ないところに夢中なところだ。


「高木君のプリント、一枚くすねてきたんだ。実篤の詩のハナシ、けっこ良くできてる。真面目なせんせーだぁね」