ウェルカムアワーズ

 聞こえよがしなため息をついた松宮くんを肘でどつく。て、手加減まるでナシ。

そういうとこが見た目なんかよりもはっきりと、月見ちゃんたちのお姉様なんじゃ。この人って。

「教科書あるわよ。運びやすいように袋に入れたの。ほら、あれ、カウンターの右。ちゃんとワンセット、納品確認ズミ」


「あ。ありがとうございます」

「ふたごから聞いてるわよ。がんばって慣れて、早く図書室に遊びに来るくらいの余裕を持ってよね、葉月ちゃん」


 びっくりしてしまうくらい華やかに微笑んで見せた花見さんは、その次の瞬間には表情を強張らせていた。そして形相を変えて、図書室にあるまじき大声をあげる。