ウェルカムアワーズ

 いつの間に側に寄っていたのか、声に振り向くと、女の人が立っていた。じゅうたんを沈ませているハイヒールな靴。

しかもかかと、高っ。そして上に視線を持っていくと、目の覚めるような真っ赤なノースリーブのワンピース。

 キツめなメイクの施された目を大きく開いて、がっしりと腕を組んだ姿勢でそう言ったのを、松宮くんは意外なことに憮然として。


「え、あれ、そういう理屈ー? 読んでるからって順番なんてわかんないよ?」

「あんたしかいじらないんだから、あんたの好きなように並べたら?」


「あ、いいんだ、それで」

「私は構やしないわけよ、それでも。だ・か・らっ、お願いねぇん、隆一朗くぅん」


「僕、いっそがしいんで、これで」