ウェルカムアワーズ

「だいじょーぶに見える? りゅーいっちゃん」

「この前よりはマシじゃない」


「あれを基準にしてたら、近い将来アルマゲドンだね」

 この前に何があったのか。聞かない方がいいってことはわかりそうだった。だけどなんで、何をどうしたら、調理室からマシュマロがはみ出したりしてしまうんだろう。


「ま。怪我人はナシ。こんなはずじゃなかったんよ。だいじょうぶ? お嬢ちゃん」

「あ。はい。だいじょうぶ、です」


「気をつけてー。たぶんすべると思うから」

 松宮くんの話し方から考えると、たぶん同学年の女の子は、やけに割烹着姿がはまっていた。廊下に散らばるマシュマロを指差して、目をますます細くして笑う。

お嬢ちゃんとか呼ばれたけど、ちっとも嫌に思わなかった。短い短い髪が似合ってる、感じのいい子だ。