高木先生は心の底からつらそうな顔をして、深くて長いため息をついた。『たかさん』、生徒に完全になめられている様子。
「図書室は階段上がって右行って突き当たりだからね」
「音楽室は一階だからね。たどり着くんだよ、ちゃんと」
「ありがとう」
階段上がって右。音楽室は一階。たぶん、大丈夫だとは思うけど。
あんなこと言ってるけど、高木先生って人気あるんだろうな。さえこちゃんもよーちゃんも、ホントに嫌いなら断っちゃう子たちだよね。だから、あんなこと言ってても、
――「葉月ちゃんっ」
「図書室は階段上がって右行って突き当たりだからね」
「音楽室は一階だからね。たどり着くんだよ、ちゃんと」
「ありがとう」
階段上がって右。音楽室は一階。たぶん、大丈夫だとは思うけど。
あんなこと言ってるけど、高木先生って人気あるんだろうな。さえこちゃんもよーちゃんも、ホントに嫌いなら断っちゃう子たちだよね。だから、あんなこと言ってても、
――「葉月ちゃんっ」

