ウェルカムアワーズ

 階段を、まるで自分で跳ねているみたいに見えたから、このスイカ。そんなこと絶対ないのに、とっても楽しそうにぱうんぱうんぱうんって、……楽しそうに。

 さえこちゃんがかがみこんで、スイカの口からなにかを取り出した。白い紙は、そんなに小さくもない大きさで、半紙だ、それ。なにか書いて――


『天誅』。

 天誅、って、だってスイカ……、スイカ、だよ? これは。……スイカだよね……?


 普通あるはずのないものが、ここで普通ではないことをしている。災難。私のせい? 私のせいで、スイカが階段転がってくるの? 

しかも、目と鼻と口をくりぬかれた状態で。

 事故だ、こんなのは。そう考えるのが自然に決まってる。